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接着芯地を貼ってみよう!(接着プレス機での貼り方や注意点) PART3



弊社の主力商材である接着芯地は、基本的に「接着プレス機」を使ってご使用いただいています。
接着プレス機の種類や貼り方について2回に渡りご案内しましたが、
今回は「接着作業時に起こり易いトラブルとその解決方法」について解説します。

目次
1.接着芯地とは?
2.接着プレス機とは?
3.トラブル事例と解決方法
   1)剥離強度が弱い
   2)ゆがんだ形で接着された
   3)接着樹脂汚れ(キラツキ)が発生した


1.接着芯地とは?

芯地とは、洋服に必要な副資材の一種です。
「芯」という名の通り、洋服のシルエットづくりの骨格になる素材で、
使用することにより「成型性・保型性(洋服の形を保つ)」や「審美性(きれいなシルエット)」を高めます。
詳しくは「芯地とは?」をご覧ください。

芯地の中で「接着芯地」とは接着プレス機やアイロンを使って加熱し、表生地に「貼って使用する芯地」です。
表生地に接着芯地が加わることで「縫製しやすく」なり、「消費性能を高める効果(着用や洗濯による型崩れ等の防止)」が得られます。
詳しくは「接着芯地とは? part1~基布~」をご覧ください。


2.接着プレス機とは?
接着芯地を貼るために使用されるプレス機器には、主に「ローラー型」と「フラット型」があります。

接着プレス機


それぞれの詳しい説明は下記よりご確認ください。
ローラープレス機を詳しく知りたい方はこちら。
フラットプレス機を詳しく知りたい方はこちら。


3.トラブル事例と解決方法

接着芯地をプレス機で貼ったときに起き易い代表的なトラブル事例3件と、それら問題点の解決方法について紹介します。

1)トラブル事例1

芯地メーカーから届いた接着試験結果報告書の記載接着条件に合わせて接着作業を行ったが、
報告書と同様の接着強度が得られない。(強度が弱い)

接着試験結果表


<<原因と解決方法①>>
接着プレス機の「温度」に問題がある可能性があります。

●原因 その1
プレス機の電源を入れてから時間が経ってなく、プレス機内の実温度が設定温度に達してない状態で接着作業を行ってしまった。
●解決方法
実温度が設定温度に達し安定していることを、必ず確認してから接着作業を開始する。
ローラープレス機HP-600LFS 操作盤

〇原因 その2
実温度の「表示」は設定温度に達してるが、実際には「表示温度と実温度に差がある(実温度が表示より低い)」状態で接着作業を行った。
〇解決方法

接着プレス機の故障とまでは言いませんが、表示と実温度に「ズレ」が生じていることがあります。
プレス機に問題が発生していることを把握することが大切で、そのためには定期的な「プレス機チェック※」が必要です。

「温度のズレ」が発生している場合には、機器整備のご担当者や出入りの機器業者、プレス機メーカーなどにご相談いただき速やかなメンテナンスをお薦めします。
※プレス機チェック:プレス機の「温度」「圧力」「時間」が、設定通り正常に機能しているかをチェックすること。


<<原因と解決方法②>>
接着プレス機の「圧力」に問題がある可能性があります。

●原因 その1(ローラープレス機使用の場合)
加圧ローラーに十分な圧力が加わっていなかったり、「ローラーの歪みや傾き」が原因で、接着物への加圧が不足していた。ローラープレス機出口●原因 その2(フラットプレス機の場合)
「マットのヘタリ(マットの凹みなど)」によって、接着物への加圧が不足していた。
フラットプレス機 マット

●解決方法
事例1、2ともに、上記の「温度のズレ」事例と同様に、定期的なプレス機チェックをすることで加圧不足の原因を特定することができます。
ローラーのゆがみやマットのヘタリなどの不具合が生じている場合には、速やかなメンテナンスをお薦めします。


※上記は接着プレス機にフォーカスしてお伝えしましたが、想定した接着強度が得られない場合には、プレス機の問題ではなく、
芯地の製造ロットや品質、表地の加工条件の違いなど、様々な要因が考えられます。



2)トラブル事例2

密度が甘く動きやすい表生地をローラープレス機で接着したら、表生地の地の目が曲がり、歪んだ形に接着されてしまった。

接着布 歪み


<<原因と解決方法>>
●原因
ローラープレス機への投入時や加圧ローラー部分を通過する際に、変形した状態になる可能性があります。
●解決方法 その1
離型紙などの上に接着物を置いて、紙ごとプレス機に投入することで歪みを抑えることができます。

ローラープレス機 入口
●解決方法 その2
表生地が固定されて動かない「フラットプレス機」を使用することで解消できます。

フラットプレス機 マット

3)トラブル事例3

芯地の接着剤(樹脂)が生地の表側に「シミダシ」するような薄手生地ではないのに、ローラープレス機で接着したら表生地表面に接着樹脂汚れ(キラツキ)が発生した。


<<原因と解決方法>>
●原因
芯地の接着剤(樹脂)は、作業中に僅かながらコボレ落ちることがあります。
ローラープレス機の投入口手前の台上で表生地に芯地をセットする作業をする際に、芯地からコボレ落ちた接着剤(樹脂)が台上に残り
表生地の表面に付着してしまうことがあります。
ローラープレス機 ハシマ製 HP-600LFS

●解決方法
投入口手前の作業台上は定期的に清掃しましょう。

プレス機出口にある「加圧ローラーまわり」に接着剤(樹脂)などの汚れが溜まって表生地を汚すこともありますので、
こちらも定期的に清掃しましょう。


いかがでしたか?
使用方法でお困りの場合はお気軽にご相談ください。

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